荒天時に人事総務がやるべきことは「柔軟な判断」と「即時の決断」

台風や大雨などの荒天が増えている今、社員の安全を最優先にするためには、人事総務の即時かつ柔軟な対応が欠かせません。
早めに動けば、社員も安心する
昨日の台風15号は、九州から関東までを縦断し、各地に大きな被害をもたらしました。
今年の夏は猛暑が続いたかと思えば、大雨による災害も多発しており、極端な天候が続いています。
最近では気象予報の精度も上がり、時間単位・地域単位での詳細な予測が可能になっています。
にもかかわらず、出社・退社の判断が直前まで出ず、社員が困っているケースが後を絶ちません。
SNSやネット記事を見ていても、「もっと早く判断してほしい」という声が多くありました。
社内の意思決定プロセスに時間がかかるのは理解できますが、でも、災害のリスクが高まる場面では、まず社員の命と安全を守ることを優先すべきですし、テレワークの制度があれば尚更、即断できるはずです。
人事や総務が「少し早いけど、念のため在宅勤務に切り替えましょう」といった決断を示すことで、社員は安心し、業務にも集中できます。
誰にとっても安全第一の判断を
私がかつて勤めていた企業では、台風接近時に「女性社員だけ先に帰宅、男性社員は残るように」といった謎の指示が出たことがありました。
今となってはあり得ない話ですが、当時は旧態依然な思考が根強く存在していました。
このような対応は、合理性も根拠もなく、差別的と捉えられかねません。
荒天時に考えるべきは、「誰がどこに住んでいて、どのルートで帰宅するか」という実際のリスクです。
男女や役職、年次で分けるのではなく、それぞれの事情を踏まえた柔軟な判断が必要です。
また、都心部では地下鉄や山手線が運行している間は出社を命じる企業も多いですが(地上を走る区間では運休の可能性もあります)、午後以降にかけて荒れることが分かっていれば、そもそもそういう予報が出ていれば、電車が動いていようと早めの退社や在宅勤務への切り替えをすべきです。
ムリして出社しない選択肢を持つ
ライフラインや現場対応が必要な職種を除き、オフィスワークはほとんど在宅で代替できます。社員の命を守る判断を迷わずできることが、これからの時代のマネジメントに求められます。
それでも、「電車が動いているから出社可能」「周囲の企業も通常運転だから」といった“空気”で判断してしまうことは少なくありません。
けれども、それではいつまで経っても社員の不安は解消されません。
人事や総務は、状況に応じて柔軟に判断する立場です。
「交通機関が止まる前に退社を促す」「朝から在宅勤務に切り替える」「自宅待機の連絡を早朝に出す」といった指示を速やかに出すことで、社員の信頼と安心感につながります。