コラム
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みんなが「経営者」でなくていい

eguyan
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働き方の議論が盛り上がるなかで、「社員も経営者目線を持て」という言葉が当たり前のように語られています。でも本当に、みんなが経営者である必要ってあるのでしょうか。

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働き方改革は「経営者の価値観」を押しつけるものではない

高市政権になってから、「働きたい改革」という言葉が出るほど、労働時間の規制緩和が議論されるようになりました。
私は正直なところ、1日8時間・週40時間という枠はもう少し柔軟になってもいいと思っています。
働きたい人がもっと働ける制度になれば、複業もしやすくなり、社会にとってプラスにはたらく側面もあるからです。

しかし同時に、働きたい人だけがそうすればいいのであって、経営者や管理職が「馬車馬のように働け」と強制したり、残業前提の文化を押しつけたりすることは厳しく規制するべきだと考えます。

経営者には「働こうと思えばいくらでも働ける」「休もうと思えば休める」という自由があります。しかしこれは経営者という立場の特権であって、同じ働き方を社員に求めることはできません。

立場が違えば、責任範囲も、得られる報酬も、背負うリスクも違います。

複業の時代。「働き方の選択肢」を広げることが社会を支える

今後、日本の人材不足は確実に深刻化していきます。この流れの中で、複業はますます当たり前になり、むしろ複業が広がらないと社会が回らなくなると感じています。

一方で、「人手不足なら外国人を雇えばいい」という短絡的な発想がいまだにあります。しかし、低コストの労働力として外国人に依存するモデルのままでは、企業も地域も持続しません。

必要なのは、「人が働きやすくなる仕組み」「スキルを発揮できる環境」を国内外の労働者が共通で得られるようにすることです。そして制度も働き方も、選択肢を広げる方向へアップデートしていく必要があります

ただしその際に忘れてはいけないのは、働きたい人だけ働けばいいという前提と同時に、働きたくない(働けない)人にまで同じ働き方を求めないという対のルールが必要だという点です。

複業も長時間労働も、あくまで「選択」であるべきで、決して「義務」になってはいけません。

「経営者目線を持て」という呪文に縛られなくていい

社員に「経営者目線を持て」と言う経営者がいますが、もちろん、社員が自発的に経営視点を持つのは素晴らしいことです。自分の役割を広い視野で見られると仕事の質も上がります。

しかしこれは、あくまで“本人が望めば”という前提で語られるべきです。

経営者が「社員も経営者目線で動け」と求めるなら、それは賃金・裁量・責任も経営者に近づけて初めて成立します。

にもかかわらず、責任だけを社員に求め、報酬も裁量も据え置きのまま「経営者目線を」と押しつける経営者は少なくありません。これはマネジメントではなく、ただの負担の押しつけです。

そもそも、働く人全員が経営者になる必要も、経営者の視点を持つ必要もありません。立場が違えば、持つべき視点も違って当たり前です。

働き方はこれからもっと多様化し、「複業」「リモートワーク」「短時間勤務」「地方×東京のハイブリッド」といった選択肢が広がっていきます。

確実に言えることとして、「経営者と社員は違っていい」。そして、違うからこそ組織は回る。

経営者がすべきことは、社員に経営者視点を押しつけたり、経営者の働き方を押しつけることではなく、社員が「自分らしい働き方」を選べる環境を整えることです。

みんなが経営者になる必要はありません。働き方を選べる社会にしていくことが重要です。

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EGUYAN
富山県富山市生まれ、埼玉県川越市育ち、現在も川越在住。 ワーケーションソリューション(Well is)代表 日本産業カウンセラー協会認定産業カウンセラー。 野球と旅とまいう〜と。がモットー。
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