「1人で決める」ことの強さと怖さ

独立や起業を考えると、自由な働き方に憧れる一方で、「すべての決断を自分で下す怖さ」もついてきます。
独立後は、すべての決断に自分で責任を持つ
独立すると、小さな判断も大きな判断も、最終的に決めるのはすべて自分です。
たとえば、「仕事用の百数十円のペンを買う」といった些細なことから、「1億円規模の事業に挑戦するかどうか」といった重要な判断まで。誰にも任せられないし、誰かに責任を押しつけることもできません。
会社員時代であれば、何かを決めたら上司に報告し、最終判断は上層部に委ねるという流れがありました。責任の所在が分散される仕組みがあり、自分ひとりで背負うことは少なかったのです。
しかし、独立後は違います。相談相手がいたとしても、最終判断を下すのは「自分」。そのプレッシャーは、想像以上に大きなものです。
会社員時代は、責任の所在があいまいだった
私の場合、前職での経験が、独立後の責任の重さを際立たせています。
ある日、新しく入社して2ヶ月の同僚に作業を教えながら、ある省庁に提出する時間指定付きの報告書を作成していました。丁寧に説明していたら、提出時間を過ぎてしまい、最終的に社長が対応する事態に。
すぐに上司に報告しましたが、その上司は「自分は知らぬ存ぜぬ」状態で責任から逃れようとしたのです。あまりにも無責任な対応に、怒りというより呆れてしまいました。
結果的には厳重注意で済みましたが。
誰かが責任を取る仕組みがある反面、自分が納得できない形で処理されることもあるのです。
ミスを恐れずチャレンジできる環境を自分でつくる
独立後は、ミスがすべて自分に返ってきます。でも、私は「ミスは悪」ではなく「挑戦の証」だと思っています。
特に、初めてやることが多い独立初期は、失敗して当たり前。完璧を目指すよりも、小さく試し、小さく失敗しながら成長していくことが大切です。
日本社会は「ミスを責める文化」が根強く、失敗を恐れて挑戦できない空気があります。その結果、変化を避け、チャレンジが生まれにくい環境になってしまっていると感じます。
私は、自分の仕事や発信を通じて、「失敗してもいい」「また挑戦すればいい」という風土を広げていきたいと思っています。
独立してから、「自分で決める」という怖さと同時に、「自分で選べる自由」も感じています。
誰にも決められず、誰かの許可を待たずに進める。 その責任と自由を引き受けられる人が、独立や起業を楽しめるのではないかと思うのです。
独立とは、決断力と自己責任の連続です。
でもその先には、自分らしい働き方と、納得できる人生があります。
これから起業を目指す方は、まず「小さな決断をする力」から鍛えていきましょう。
やらない後悔より、やる後悔。
どうせなら、やって後悔しましょう。