独立してから武器になる、会社員時代の地味な業務経験

独立してから、過去に積み重ねてきた実務経験のありがたさを日々感じています。営業経験がなく苦労する場面もありますが、IT、人事、総務といったバックオフィス業務を一通り経験してきたことが、今の自分を大きく支えてくれています。
独立後に役立つITスキルは、基礎でも十分に戦力になる
初めてパソコンに触れたのは、まだWindows95が出る前(つまりMS-DOSの頃)の学生時代でした。その後Windows95が出たので使ったことはあっても、学校の授業で使わなかったため自力で覚えるしかなく、そのためたいして詳しくなく、きちんと使いこなせるようになったのは、新卒で入社してからです。システムエンジニア(SE)の部門に配属になって、社内インフラの構築やメモリ交換、トラブル対応などを経験し、自然とITスキルが身についていきました。
この経験は、独立後に大いに活きています。パソコンの初期設定やソフトのインストール、トラブルの原因特定と対処もすべて自分で行えます。ちょっとしたエラーもネットで情報を探し、解決に導く力があると、外部に頼らずに済む場面が増えます。特にフリーランスや個人事業主にとっては、最低限のITスキルがあるだけで業務効率が格段に上がります。
人事・総務の幅広い経験が、事業運営の基盤になる
SEから人事・総務の領域にキャリアを広げたことで、業務の幅が一気に広がりました。給与計算や社会保険の手続き、住民税や所得税の取り扱い、そして評価制度や等級制度の設計まで、人事分野で多くの実務を経験しました。総務では、文具や備品の管理からオフィス移転、株主総会の運営、さらには子会社設立の事務手続きまで関わってきました。
独立後の今、これらの経験がすべて自分の土台になっています。自分自身の確定申告はもちろん、かつて会社で取締役の確定申告を任された経験もあり、税金まわりの知識があることで、経理処理もスムーズに行えます。契約書のチェックや社内ルールの整備なども自力で進められるため、事業運営のスピード感が違います。
個人事業主にとって「わからないから誰かに任せる」はコストにもリスクにもなります。その点、独立前に実務を通して得た知識と感覚は、大きな強みになります。
事務作業の慣れが、日々の小さなストレスを減らす
郵便の料金体系や書類のフォーマット、行政への届け出、請求書や領収書の扱いなど、会社員時代は「当たり前」にやっていたことが、独立後にはすべて自分の業務になります。総務としてこうした業務を数多くこなしてきたことが役に立っています。
例えば、郵便物の種類、役所への届け出に必要な添付書類など、事務経験がない人にとってはなかなか難しかったりします。
営業力に不安がある分、ITや人事・総務の実務経験が独立後の支えになっています。独立を考えている人にとって、今の仕事で得られるスキルや知識は、将来必ず役に立ちます。たとえ今は地味に見える業務でも、自分で事業を回すようになったときに「やっておいてよかった」と思える瞬間が必ず訪れます。経験は、すべて未来の自分への投資です。